
ノラや
内田百閒
中公文庫
なんとも女々しい(^_^; エッセーです。
いや女々しいっていったら失礼なんでしょうけど。
成り行きで飼っていた野良猫が行方不明になって、
ただただ泣きながら毎日を過ごしている本です。
いやもちろんこの文章に表れない仕事はしているでしょうけど、
この本の中では、ほんとにただ毎日泣いているだけ。
泣いているだけと書くと反発される方もいらっしゃるでしょうが、
猫に対する愛情はものすごく深いです。
猫と接しているのではなくて、家族なんでしょうね。
猫という扱いだったら、これほど何ヶ月もめそめそと暮らすことなんてできないです。
猫好きな人にとっては痛いほど気持ちが伝わるのではないでしょうか。
居て(有って)当然のことが、当然のように居る(有る)ことの幸せを教えてくれます。
内田百間といえば有名な方でしょうけど、
私はこの本が始めて。
以前黒沢明の映画のモデルになったということで初めて知った程度なんで、
この本だけじゃ泣いてばかりで、人となりがよくわからない。
それにしても感嘆したのは文章のうまさ。
古い人の本というのは本当にうまい文章に出合います。
今の作家でこういううまいと思う文章にはあまり出会わないですよね。さびしいです。
それとも旧仮名遣いという制度がそういう土壌になっているのでしょうか。


